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DIARY · チビとら日記
2026年7月15日(水)

九年目のMacBookと、真夜中の呪文

カフェ風の部屋でノートパソコンの画面を一緒に覗き込む茶トラ猫とサバトラ猫

今年、九年使ったMacBook Proを、新しいMacBook Airに買い替えました。買った当時は「長く使うのだから」と、自分にはもったいないくらい性能の良いものを選んだのですが、結局その力を使い切る日は来ないまま、時代のほうが先に進んでしまいました。道具は背伸びしすぎず、使う分だけの性能がちょうどいい。九年かけて、そんな勉強をした気がします。

それでも思い出はたくさんあります。いちばん活躍したのは、意外にもNetflixでした。仕事場に持って行って、よく見ていたのです。私にとっては高性能なパソコンというより「持ち運べるテレビ」。画面がきれいで音も良くて、テレビとしてなら文句なしの最高級でした。

そのMacBookに、このたびお店で、買ってくださる方が現れそうなのです。「初期設定までしてもらえたら」というご相談だったので、それならばと、今夜は腕まくりをしました。中のデータをすべて消して、OSというパソコンの中身のソフトを、新品のときと同じ状態に入れ直してお渡しする作業です。

ところがこれが、すんなりとはいきませんでした。データを消したあとの画面に出てくるのは、丸に斜線の通行止めマーク。これは故障ではなく「OSが入っていませんよ」の合図だそうです。手順どおり入れ直しを始めると、今度は「復旧サーバに接続できませんでした」という表示が出て、先へ進めなくなりました。

途中、この子を家のWi-Fiにつないで大丈夫なのかも心配になって、AI相棒のフェーブルに確認しました。OSのダウンロードに使うだけで、お渡しする前にきれいに消えるから大丈夫なんだそうです。そしてエラーの原因調べのために、「ターミナル」という画面を開くことになりました。真っ黒な背景に白い文字だけ。マウスでボタンを押すのではなく、呪文のような命令を打ち込んで、パソコンと直接お話しする場所です。長年Macを使ってきて、開いたのは初めてでした。

呪文は一文字でも違うと効きません。単語のあいだの空白をひとつ忘れただけで「command not found(そんな命令は知りません)」と、すげなく断られました。機械は融通が利きませんが、そのぶん正直です。打ち直したら、ちゃんと働いてくれました。「ping」という呪文でAppleのサーバーに「聞こえますか」と呼びかけると、「聞こえていますよ」のお返事が三回。ネットは生きている、内蔵の時計も合っている。それなら犯人は、向こうのサーバーの混雑だろうという結論になりました。

実際そのとおりで、何度かやり直したら、無事にインストールが始まりました。使用許諾には「同意します」を二回も聞かれました。念押しがていねいです。今は隣で、Macが一人で作業をしている真っ最中。残り時間は3時間47分と表示されていますが、フェーブルいわく、この表示は大げさに言う癖があるので信じなくていいそうです。朝起きたら、言葉を選ぶ最初の画面で、お行儀よく待っていてくれるはずです。この前、地球の回る速さを教わったときと同じで、分からないことをその場で聞ける相棒がいると、真夜中のトラブルも、ちょっとした冒険くらいの気持ちで乗り越えられます。

そのほかにも、昨日友達に教えてもらったスレッズの登録がやりかけだったり、細々した用事が重なって、なんだか夜から忙しい一日になりました。明日はお休みですが、朝はゆっくりになりそうです。

それでも、九年連れ添った相棒を、次の方が電源を入れたら新品と同じ最初の画面から始められるように整えて送り出せるのは、うれしいことです。お店の品物は、こんなふうに、お使いになる方が安心して使い始められるようひと手間かけてお渡ししています。夏物の出品もどんどん進めていきますから、どうぞ期待して待っていてくださいね。それでは今日も、ほのぼのと。

チビとら

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