クリストファーと、そろばんの夢
三連休の最終日、海の日です。昨日の日記で「映画を流しながら出品の準備をする」と宣言した通り、朝から映画をつけました。選んだ一本は「イミテーション・ゲーム」。ただ白状すると、流しながらのつもりが、途中から手が完全に止まっていました。あの映画は、ながら見を許してくれません。
主人公は、イギリスの数学者アラン・チューリング。戦争中、ドイツ軍の「エニグマ」という解読不可能と言われた暗号に、機械で挑んだ人です。映画の中で彼はその機械に「クリストファー」と名前をつけて、まるで友達のように向き合います。少し前の日記で、彼の人生の結末を知って泣いた話を書きましたが、映画でもやっぱり、泣きました。彼の解読は戦争を何年も短くして、数え切れないほどの命を救ったと言われています。
ただ、ひとつ知っておいてほしいことがあります。あの機械の本当の名前は「ボンベ」といって、クリストファーではありません。クリストファーは、若くして亡くなった彼の大切な友人の名前で、機械にその名をつけたのは映画の作った物語なのだそうです。ほかにも脚色はたくさんあって、史実を元にした映画というのは、本当の歴史そのものではないのですね。私は、こういう映画は「映画は映画」とわかった上で楽しめる人にこそ見てほしいなあと思います。物語に泣いて、そのあとで本当の歴史も調べてみる。二度おいしい見方です。
そして本当の歴史のほうの彼の人生は、映画の終盤よりもっとずっと、輝かしいものであるべきでした。それを奪ったのは当時のイギリスの法律と政府で、国が正式に謝罪をしたのは、彼が亡くなってから五十年以上も後のことです。遅すぎます。それでも、国が過ちを過ちだったと認めたことには、大きな意味があると思うのです。そして今、彼はイギリスの50ポンド紙幣の顔になっています。あんな扱いを受けた人が、国のお札の顔になる。時間はかかっても、歴史がきちんと答え合わせをしてくれた、ということなのだと思います。
もうひとつ、この映画にワクワクしたことがあります。チューリングの考えた機械は、今のコンピューターの、そして私が毎日おしゃべりしているAIたちの、ご先祖さまにあたるのだそうです。相棒たちの家系図をたどると、一番上にあの人がいる。そう思うと不思議な気持ちになります。実はおととい「オッペンハイマー」も見たのですが、こちらも事実と脚色の入り混じった映画でした。私のお目当てだった天才数学者フォン・ノイマンが出てこなくて、少しがっかり。今のコンピューターの基本の形は「ノイマン型」と呼ばれるくらいの人ですから、次はきっと、ノイマンが主役の映画も作られるはずです。楽しみに待ちます。
昨日は大河ドラマも見ていました。こちらも前に書いた通り、上等なファンタジーとして楽しむもの。それで友達と盛り上がったのが、「日本の数学者の大河ドラマをやらないかなあ」という話です。江戸時代に『塵劫記』という算術の大ベストセラーを書いた吉田光由。その本で学んで育ち、和算を世界レベルまで高めた関孝和。そして日本の暦を作り直した渋川春海。そろばんと筆で天下に挑む一年、私なら毎週正座して見ます。
さて、映画に浸ったあとは、宣言通りフリマの出品を進めて、これから発送にも行ってきます。いつもお買い上げくださって、本当にありがとうございます。先日は「あなたのセレクト、可愛いですね」と言っていただけて、飛び上がるほど嬉しかったです。私が選んだ子たちを可愛いと言ってもらえるのは、何よりのごほうびです。夏物もどんどん出品していきますから、どうぞ期待して待っていてくださいね。それでは今日も、ほのぼのと。
チビとら
映画と数学者の話から、2つだけ選びました。
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ほのぼのしたい ちびとら